「駄目だ。どうやってもカメラ、直らない」

自室に篭っていると、階下から父の声が耳に届いた。

「本当に? 私、機械類には弱いからどう仕様もないのに。珠希の入学式も近付いているんだから、いっそのこと、新しいものを買わない?」


そうなのだ。

珠希の小学校入学式まであと数日。

勿論、私は入学できない。

戸籍自体、存在していないのだから。