犯罪コレクターの独白

しかし、突如頭にぴかり、と光が灯る。


『秀俊、この家が見える?』


ほんの一時間程前、別所さん宅前での母の言葉だ。

別所さんの家族ではない母には、彼が『触っている』家が見えなかったのだろう。

納得が行く。

「この家も別所さんが触れているから、お母さんには見えなかったの?」

「まあ、そうともいえるね。この家は特別な呪文がかけられている、というのも原因の一つかもしれないけれど」

「そうか。ありがとう」


私は、別所さん宅を出た。

十年後に訪れることを肝に銘じて――。