二十歳の誕生日である四月三日の昼間、私はとあるビルの屋上にいた。

路上には、スーツ姿の会社員らしき人間がたくさん歩いている。


私は、空き巣や法子から騙し取った紙幣を、ばらまいた。

ひらひら、と風に乗る紙切れ。


空を仰いだ人間どもは、仕留めた餌に群がるハイエナのように、紙切れめがけて進む。


近くの公園ではらはら、と舞う桜に目を向ける者はない。


私は、無性に虚しくなった。