犯罪コレクターの独白

「それに私、大した趣味もないから貯金ばかりしてたの。学生時代の友達とも、社会人になってから疎遠になっていくし」

うつむいていた法子が、私と目を合わせる。

「だから、今の私には喜成だけ。最初の読者にもならせてもらえたし」


言葉を失う『臼井喜成』に対し、『名護秀俊』が代わりに口を開く。

「法子、君の気持ちは十分汲み取ったよ」