犯罪コレクターの独白

「初めまして、名護秀俊君。さあ、どうぞ」

現れたのは、家と同様に、どこにでもいそうな人物だった。


私の父と同年代のように思えたから、当時三十代半ばだったのだろうか。

鋭い光を灯した、きりっとしたこげ茶色の瞳。

綺麗だと感じてしまう程、すらっと通った鼻。

上がっている両端の口角。

もう少し伸ばせば、一つに束ねられそうな長さの黒髪。


私に優しそうな印象を植え付けさせようとしているが、どこか抜け目のなさそうな人物だ。

「さあ、入って」

びくびくしながら、私は玄関で靴を脱いだ。