犯罪コレクターの独白

何の変哲もない、一軒家だ。

灰色がかった白い壁に、茶色の屋根。

二階建てぐらいだろうか。


「じゃあ、ここのベッショさんという人とお話をしてね」

「どういうこと?」

わけが分かっていない私に、母は微笑んだ。

「このインターホンというボタンを押したら、ベッショさんが出てくるはずだから」

そう告げると、母はくるりと背を向ける。


大海にぽつんと浮かぶ小舟になったような気分だったが、私は恐る恐る、インターホンというものに手を伸ばした。