家族とはいえども、人間がいる家にはすぐに帰りたくなかった。

そこで思い付いたのは、別所さんの存在だ。



私が訪ねると、別所さんは優しく迎えてくれた。

「お帰り」

穏やかな顔を見ると、再度涙が溢れる。

いつの間にか、私は子供のようにわんわんと泣いていた。

その間、別所さんは何も言わずに背中をさすってくれた。