「だめだよ。好き、だった。過去形にして」


「……大好きだったよ。菜月」


「うん…。ありがとう、和馬。……あと、ごめんね。言わせて、ごめんね」


「菜月」


「本当に、呪文、だったみたい。なんだか、消えそう」


「菜月」


「和馬、大好きだった。ありがとう、ね」


「な、つき…」




にこ、と菜月が笑った。



紗月とそっくりな、幸せそうな、微笑み。




瞬間。






強い風が吹き抜けて。




雪が、舞い上がって。