「ねぇねぇ、千尋見なかった?」


「みてないよ」


「ありがと」



さっきから
廊下をすれちがう人たちに何回聞いてもこんな感じ。



あと一人に聞いて、
もう帰ろうかな…



そう思い、
前から歩いてきた背が高くてひょろひょろの男の子を呼び止める。



「ねぇ」



「な、なにっ?」



うわー…
声もなんか弱そう。