『で、帰って良いのか?』
「……ダメだ」
『……チッ』
舌打ちした私が立っている事に気づいた恭輔がソファの左に寄ってどうぞ、と言いた気に視線を寄越した。
暫く居る事になりそうなのでそれに甘えて座った。
來哉はと言うと、例の黒ソファーに座って足を組んで座っている。
……えらっそうに…
「心の声出てるよ」
恭輔にそう言われ、眼を瞬く。
『……嘘?』
「事実だよーん」
クスクスと笑いながらサラリとカミングアウトをした陽にぎこちない笑みも浮かべた。
「……誰がえらそうだと?」
低いドスのきいた声でそう言うのは、來哉。
『は、はは…』
乾いた笑みを浮かべると來哉は私に向かってその場にあった雑誌を私に投げた。
それを咄嗟に掴む。
それに目を見開いて驚く皆の姿が目に写った。
來哉1人は目を細めて私を見た。
「やっぱりな。
お前動体視力と反射神経いいだろ」
來哉はそう言って私に投げた雑誌を私から受け取り、読み始めた。
『……別に』
そう呟いて眼を閉じた。

