薇姫/獣帝




質問に答えなかった來哉は多分、芦屋達の所に行くつもりだったからだろう。



「あ、琉稀起きたー」


うさ耳でもついてそうな顔で私を見る芦屋。



『…俺、帰って良いのか?』


そう言うと、秋庭と青海が困った様に私を見ていた。




「來哉に聞いて?」


『……來哉、いいか?』




何故かそう言った瞬間空気が凍った。



「……は、何で下で呼び捨て?」



秋庭は目を見開いて私と來哉を交互に見た。


「えー、來哉だけずりぃー‼


俺も尚って呼んでよ?」


「俺も呼び捨てがいーなー」



「俺も下で呼び捨てがいいかな。」



「……ぉれも…」



全員かよ。






『……尚、陽、恭輔、透璃』



「「……」」



來哉以外は少し照れ臭そうに顔を俯かせた。



「何か、琉稀の声って中性的で綺麗で女に呼ばれてるみたいに感じる」



……



『……そうか?』


私はそう言って話を逸らした。