薇姫/獣帝





「………へ…」




予想していた言葉とは違うモノが葵の口から出たから、翔平はぽかんと口を開けた。



………間抜けな顔。




白けた目で翔平見てると、バッと私を振り返った。



「………あ、葵さ…」






「京汰の、アレ。」




葵は目を伏せて言葉を紡ぐ。





「あの時、俺はまだ未熟だったし、今も未熟だ。





だから、あの時の最善も今のこの状況の対処の仕方もわからねぇ。





だけど、あの時は1人に済ませるのが1番手っ取り早かったんだ」






葵の話す言葉に翔平の顔はどんどん俯いていった。




「悪かった…」



「あ、おいさんの謝ることじゃ…」



弱々しい何かを押し殺した様な翔平の声が届く。




『………翔平、前をみろ』




ドアにもたれかかった体制で私はそう言った。




翔平はもう一度振り向いて涙ぐんだ目で私を見た。




『自分の胸の内をぶちまけろ。




あの時の後悔、痛み、今の後悔、痛み。





………未来への、願望を。』





私はそう言ってドアを開けたままにしておいて部屋に入った。





「………恨みました…憎みました…



あの頃の俺も、最善なんて今考えても解りません。



ただ、あの時は京汰の助ける事しか頭になくて、怒りと悔しさを葵さんにぶつけました。





情けないです………でも…




葵さんのせいでもないです……!




すみません……あの時、反発して…



挙句、今になってこんな問題起こして…




すみませんでした……っ…‼」



下っ端らしき子の縄を解き終えて背おう。



「……謝って…」



『済む問題じゃないってか。』



葵の言葉を遮る。




『これくらいなら謝って済む』




「………怪我をさせたんだぞ」



『俺はしてねぇ』



自分でも屁理屈を言っているのは重々承知だ。




「……こんなものが謝って済む…」



『じゃぁ、逆に聞く。





謝って済まないほどの問題か?』







私の言葉は倉庫内に木霊した。