楼稀side



小さな抗争。




俺は人数合わせでその抗争に参加した。



姉貴の琉稀は参加してんのに俺は参加できなくてすごく不満だった。




体を壊した俺がいけないのかもしれないが、ガキの俺には不満でしょうがなかった。





抗争は小さかったから、あまり人は居なかった。




それに、相手も組の奴等とは比べ物にならないくらい弱い。




手応えも無く、イライラはたまっていく一方だった。





琉稀を盗み見ると無言、無表情で敵をなぎ倒していた。




琉稀の綺麗な、相手を必要以上に傷つけない戦い方が俺は好きだった。







そんなのを見ていた俺は、完璧に油断していた。








……俺に向かってナイフが向かってきていた。





琉稀が俺に走り寄ってくるのが見えたと同時に、後ろの方で黒い鉄の塊を持つ奴も見えた。







……銃とナイフなら、どちらが即死か何て分かり切ってる。








……だから、俺はナイフを琉稀が受けてくれるとわかって銃の方向から琉稀を守る様な角度で時を待った。










……琉稀の肩から鮮血が溢れ出るのを見て俺の肩まで痛む様だった。





ごめん、琉稀。








痛い思いさせて。








こればっかりじゃない。









今までずっと……











ごめん……










心の中で謝っていると、銃声と共に自分の体に鋭い痛みが重く体を抉った。








その痛みに息が詰まるような感覚に陥った。







だけど、自分が選んだ道さ。









…後悔はない。