目が熱くなってとっさに上を向いた。





『……っバカだ…




楼稀は本当にバカだ………っ…』







目の端から流れる生温かい雫は頬をつたっていく。





來哉はそれを拭いながらふっと笑った。








「…だから、俺呪い殺されるんだゎ。










………お前を幸せにしないと。」









その言葉に思わず來哉の顔を凝視した。






「………俺が呪い殺されないようにさ、












俺の隣で笑って幸せになれよ」














命令口調で言うくせに、瞳だけはあたたかくて涙が零れ出す。










『………私に恋愛感情は無い…』









昔からそうだ。






幼稚園の頃の女友達は誰がかっこいいとか騒ぐけれど、何も感じなかった。





かっこいいんじゃなくて整っているな。



それ位しか気にしなかった自分がおかしいのか、と気づいたのは幼稚園年長だった。




『………私は幸せになっちゃいけない…』








他人を傷つけ、楼稀を傷つけ、來哉も傷つけた。





そんな私に來哉の隣で笑って幸せになる権利なんて得られるか。






答えなんて分かり切ってる。






神様と仲の悪い私だ。








一生、1人で苦しんで生きろと言うのだろう。






「………琉稀、俺の話聞いてたか?」









私の目を覗き込む蒼い瞳が滲んで見えてくる。








「………命令。そんで、俺のお願い。






呪い殺されたくなぇんだよ、俺は。











………お前に俺へ何かの感情を抱いていない事くらいわかってる。







だけど、








少しくらい、願い事聞けよ」










私の肩に顔をうずめて呟く。




熱い吐息が首筋にかかって、來哉のとんでもない色気に寒気を覚えた。








『………っでも…』










「藍城だって、俺が傍で支えてやる。」













來哉はそう言って顔を上げて私の頬を両手で包み自分と目を合わせた。