『………棗』
「あ?」
棗の背中がシートに隠れて見えない。
……
「うぉわぁっ‼」
棗は急いで急ブレーキをかけた。
「おまっ、危ねぇ‼」
道路には運良く一台も車が通っていない。
棗の肩に顔を埋めている。
……これが前までのクセだった。
「何か、久しぶりにコレした」
『うるさい、黙れ』
よしよし、と頭を撫でる棗の手をいつもは払うけど……
今日は払わなかった。
「……琉稀?」
棗の不安そうな声に胸が痛んだ。
『……』
崩壊の合図は何となく解ってる。
解ってるから、先回りしておかないといけない。
『……本家に戻る』
棗の肩がびくりと上がって私の目に少し入った。
『いって…「お前、自分の言った事…」
わかってんのか?と言いたげな棗に笑みが零れた。
……お前達のためなら、何でもいいよ。
『さ、戻ろう』
「……あぁ。」
この時、本当は何かを感じてたのかもしれない。
でも、
気ヅケナカッタノ。

