薇姫/獣帝





「「あ」」


俯いて歩く私の前で2人が声をあげた。




何となく顔を上げると、見慣れた面々。



……何してるの…




『…そんな趣味があったの……』



「いや、衣装だから。



てか言ったよね?ホストクラブって。」



恭輔はガラにも無く慌てて弁解しようと必死だ。



そこまでその服装が嫌か…




『何で?スーツ似合ってるよ?』





「嬉しいけど嬉しくない気分…」




首の後ろを掻きながら恭輔はうんざりと顔を顰める。




「紘、お前ももう着替えたのか?」




「……」



紘は何も言わず私の後方に回って私の腰に手を回した。




ツンとした新しい服の匂いに眉をひそめる。




「どしたの?」



『…紘の匂いじゃない』





紘は苦笑しながらタキシードの袖を鼻先に持っていって嗅いだ。




「…わかんない」


『だろうね』


自分の匂い解る人って結構怖いとも思うんだけど。




そんな言葉は呑み込んで來哉と陽にも目を向けた。




來哉は完全に目つきを悪くして陽はぼーっと頭の後ろで手を組んで立っていた。




『……似合うな、どいつもこいつも』




「褒めてない気がするよ」




陽はいつもより1オクターブ低い声で呟いた。




そんなに嫌か?




苦笑して見ると陽は溜息を吐いて頭を横に振った。






『私達も着替えないと』




尚と透璃に声をかけると2人とも頷いて來哉達に「後でな!」と言って教室に向かった。