薇姫/獣帝






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重い瞼を開けようとは思わないのに体は光に触れたい、という欲望に素直に従った。





『………ぅ…』





小さく声を漏らしながら眩しいほどの光が目に飛び込んでくる。






真っ白な部屋と真っ白な清潔そうなベッドに息が詰まりそうになる。





私の手は熱を孕んでいて、そっちに首を動かして見ると寝ている來哉の顔。






『………來哉…』





呼んでも反応せずにスヤスヤと眠っている。



目の下には薄っすらとクマができていて、顔は不自然なほど青白かった。





部屋を見渡すと、病室の様だった。




窓が空いていてそこから心地よい風がさらさらとカーテンを広げさせて、私の頬を撫でる。




來哉の髪がサラサラと靡いて、無性に黒髪を触りたくなった。





握られていない手で髪をすく様に触ると、艶やかな黒髪は私の指を通り抜けていく。




前髪が頬にかかってくすぐったかったのか薄く目を開けた。






『………來哉』





そう呟くと、來哉の目は見開きガバッと頭を上げた。




私を見て來哉は「琉稀………」と私の名を呼んで顔を歪めた。





「やっと…起きたのかよっ………」



『……あの日から何日経ってるの?』




來哉の滅多に見られない顔を見て満足気に笑うと、來哉は怒りの形相をして口を開いた。




「バカかお前は……っ‼



あれから3週間寝込んでるっつの‼



自分からバイクに突っ込んでく女が何処に居んだよ!?



しかも、怪我だけならまだ許せたが、栄養失調と貧血だぁ?!



ふざけんなバカ‼





何をそんなに無理してんだよ……っ‼」








來哉の語調はどんどん弱まっていきながら私の肩に顔を埋めた。





「……正直、生き返らないと思った…」




『…うん』




元々生きてたと思うけど。生き返るって表現どうよ。



「一生声聞けないかと思った………」




『………うん』




それならあり得たかな。



「琉稀っ………」




『………來哉』




静かに名前を呼ぶと、來哉はゆっくりと顔をあげて私を見た。



蒼い瞳はゆらゆらと危う気に揺れてて、どこか世界を映していないように見える。




『………心配してくれてありがと』






それだけは、わかった。





というか、嬉しかった。







自分を考えていてくれた人が居てくれた事が。





來哉は目を見開いて私を見た。



「琉稀…「琉稀ー遊びに来たよ~!」





喋りかけて尚のバカでかい声が病室に響いた。





「………ええええぇぇぇぇぇ!!??!??!」









尚の大絶叫が病院中に広がって、患者さんが怖がったんだとか。






「る、琉稀¥%々☆×=+*?!」



「日本語喋れ‼それか黙れ‼そしてハウス‼」



「俺は犬かっ!?」



尚の後ろから陽と恭輔、透璃が顔を出して目を見開いた。





「琉稀………」



「うわぁぁぁああ‼」




「お前も同類か‼」




來哉は忙しなくツッコミながら私の手を握りしめていた。