「棗さ…………」
紘はゆっくりと顔を上げてポツリと呟いた。
「どうした?
何があった!?」
棗、と呼ばれた男の人はとても焦った様に震えている手で紘の肩を掴んだ。
「琉稀…………は…!?
お前、いつも任されてたろ…?!」
その言葉にどんどん俯いていく紘の顔。
「答えろよ…………‼」
棗さんは片手を紘の肩から外して壁を叩きつけた。
壁は少し凹んで棗さんの拳は赤く染まっていった。
「棗っ‼琉稀は?!」
また新しい足音と声が聞こえてそちらを見ると、3人走って来ていた。
「淳…日向、暁月…」
棗さんはガクッと地面に座り込んで前髪をくしゃっと握った。
「紘……?
お前…が居て、琉稀、怪我したのか?」
1人は目を怒りに染めて俺等を睨んでいる人、呆然と手術室の扉を眺める人、紘を失望した目で見る人。
多様な人が居た。
「紘っ…………」
「……………」
静寂がその場を包んだ時、
「弱い者イジメは良くないんだよ~」
と、陽気な声が聞こえた。

