『疲れた』
「お疲れ様~」
「もう部屋に戻れば?」
『そーする』
そう言って部屋に1人でフラフラと歩いて行った。
ーーーーー
部屋にはミネラルウォーターもあって、それを飲みながら一旦ベランダに出た。
月が明るく照らしている世界。
その中でサラサラと吹く風が生ぬるく、夏を感じさせた。
『………』
この表に出る様になって、何だか考えが可笑しくなってる気がする。
…………違うか。
元の私の考えが可笑しいんだ。
ベランダに凭れながらミネラルウォーターを喉に流し込む。
すると、ガチャと部屋の扉が開けられる音がした。
『誰?』
聞くと、足音は私に近づいて来る。
「……俺」
『直接って…効かないオレオレ詐欺だな』
「…………來哉」
來哉は呟きながら私の隣に立った。
『どうかしたの』
前を見たまま聞くと、來哉は表情を歪めて私を抱きしめた。
『……』
「……」
『……ちょっと…』
離したいけど男の力と女の力じゃ無理だ。
そんな自分に苛立って唇を噛んだ。
「……好きだ…」
『……なにが?』
問い帰すと、來哉は私を離して目を合わせた。
「お前」
『へー』
……は?
『冗談にも限度があるよ』
「冗談じゃねぇよ」
來哉は私の頬に手を添えて真剣な表情をした。
「お前は俺をそんな対象で見てないこと位解ってる」
……………ごもっとも。
「…でも、言ったら少しでも変わるか?」
『…解らない。』
「……ーーーー」
気づいたら、俯いていた顔を上げられて唇に柔らかい感触があった。
『……』
今度は唇にキスされていた。
……
『來哉、』
肩を押して離れようとしてもびくともしない。
『來哉!!』
少し大きい声で言うと、離れた。
『……私にはまだそんな感情は解らない』
「……」
『ごめん、でも……』
來哉は私を真っ直ぐに見ていた。
『來哉は好きだよ』
微笑んでそう言うと、來哉は目を見開いて呆然としてた。
けど、すぐにフっと笑って私の頭を撫でた。
「……今はいい。
でも…」
『……』
「……おやすみ」
來哉は妖艶に笑って部屋を出て行った。
……
必ず、お前を俺の物にするーー
『……できるもんならしてみろよ』
少しの楽しみが出来た気がした。
そのまま私はベッドにいつの間にか入っていて、寝た。

