薇姫/獣帝




『…何て言うかと思ったかバーカ』




そう言うと、バッとこっちを振り向く恭輔。



恭輔の目は見開かれていて、は?みたいな感じで呆然としている。




そんな恭輔からスポンジを奪い返して食器を洗い始めた。




『無理しすぎだよ』


そう言うと、恭輔は無理矢理作った笑顔で「無理なんか…」と呟いた。



『今だってそうじゃない。





無理矢理笑おうとして。



そんな顔しても誰も喜ばねぇよ』




恭輔は力無く壁に凭れかかる。



「……琉稀って何でも諭すね。



神様みたい」



『そんな偉い人物でも何でもないよ』



私はそう言いながら食器を洗っていく。



『…ガキのやせ我慢はいつか限界を迎えるよ』



恭輔は私に悲しげで不安そうな目を向ける。




『いつか、それは爆発する。



爆発後は多々の迷惑を生む。



それは逆に迷惑だ』



恭輔の目はどんどん潤んでいく。



「……じゃぁ、何をすればいいんだっ…



自分に価値がある物がないっ…



疲れるんだよ……………」




恭輔は片手で顔を覆って唇を噛む。





『……………恭輔、』




カチャン、と最後の食器を干し台に置く。





『…………人が人に求める物は二つ。








心と、温もりだよ。






心がこもっていれば何かが自分を温めてくれる。



そんな現象を求めるのが人間だ。



その温もりを、恭輔はくれるんだよ。




温かい心。




仲間思いなそんなとこが、尚達は好きだってこの前言ってた』




恭輔の手の間から透明な雫がこぼれ落ちる。




『…………自分の本当にやりたいことをやればいい。




周りに合わせる必要も自分を気遣う必要もない。





一度、自分の本能のままに動いてみなよ』





恭輔の頭を撫でてそのまま暫くその場で立って居た。