薇姫/獣帝




「うーみは大きいなーひーろいなー」



絶対歌知らないでしょ。



尚は大声でへったくそな、しかも間違ってる歌を歌いながらスキップ気味に歩く。



「よっしゃー‼



陽、透璃、行こ‼」



尚はダーっと海へ走り抜けていった。



「はー…じゃぁ俺も行って来るゎ~」


「……」



陽と透璃も尚の後を 歩 い て 行った。



温度差すごいと思う。



「ここでいっかー」



恭輔がシートを砂浜の端に広げる。



『人あんま居ないのね』



「違うよ、ここも來哉の屋敷の敷地だから誰も来れないんだよ」



クスクスと笑う恭輔に少しムカついたけどシートに皆の荷物を置く姿を見て何も言わなかった。




「紘と琉稀も行っておいでよ」



恭輔は微笑みながら尚達に一瞬目を向ける。



尚達は海の中でじゃれあいながら笑っていた。



『私はいいよ、嫌だし』



「海来た意味ねぇだろ」



來哉は呆れた様に私をみながらシートに腰掛けた。



その隣に私も腰掛ける。



「……おい」



『肌弱いの。


行ったら死んじゃう』



「嘘つけバァロー…」


來哉は寝転がって顔の上にタオルを置いた。



「俺も尚達に混じってくるよ。


紘は?」



「いや……」



『紘、行っておいで』



微笑んで言うと、紘は戸惑った様な表情をしたけど恭輔の後について行った。




『……』




紘が皆と戯れているのを見て、心が温かくなるのと同時に鈍い痛みが走る。



「……行って来いよ」


來哉は私の隣に座り直して言う。



『肌弱いのー』


「それだけじゃねぇだろ?」



來哉の鋭い声に広げるへ向けていた目を來哉に向ける。



『……行けばいいんでしょ?』



イラっとしたからパーカーのチャックを外して脱ぐと、來哉の目は肩に止まって目を見開いた。



「……お前…その傷…」



『…? あぁ……』



來哉の視線の先には古傷。




『…汚らしいか』


笑ってパーカーを着直そうとすると、その手を掴まれて止められる。




「……痛かっただろ…」




ーー痛かったでしょ?ーー




どくん、と心臓が不快な音を繰り返す。




來哉はその肩の傷に触れて人差し指でなぞる。



「……頑張ったな」




來哉の言葉に顔を逸らした。



パーカーを剥ぎ取られ、私はビキニだけ状態になって、來哉も上のパーカーを脱ぐ。



「行くぞ」



來哉は私の腕を掴んで皆の元へ歩き出した。