薇姫/獣帝




「「『…………』」」



「……誰か迎えに行けよ」



「俺、あん中にいけねぇゎ」


「俺も」


『……私も無理』



「はーっめんどくせーっ‼


あ゛ーーーーー‼」



陽は叫びながら人混みの中に突っ込んで行こうとしてUターンして帰って来た。




『何で戻ってくんのよ』



「いやぁ、あん中いったら俺死んじゃう」



陽は頬のひきつりを隠そうともせず、でも無理矢理いつもの笑顔を装うとした。



「……とりあえず全員で行こう…」



てか、早朝でこんなに人居るって何な訳?




私は心の中で悪態をつきながら皆の後を追った。



「あ、チビの赤髪発見」



「うわぁ、めっちゃ目立つ…」


尚って身長ちっこいのにね。



髪が赤いせいでめっちゃわかるよ。



「なーおー‼」



陽が叫んで手を振る。



すると、尚は振り向いて私達に無言で寄って来た。




そして、私の隣に居る紘を押し退けて私に抱きついた。



皆は目を見張って尚を見ていた。



「……どこ行ってたのさぁ‼」




「ぅぐっ……」



急に、後ろに近寄って来た陽を殴りながらキレた。





……は?




『キレたいの私達なんだけど…』



「もぉやだー‼


女ウザっケバっクサっ死ねーーー‼」




……




尚の可愛いキャラがどんどん崩れていく。



そんな感じがして私は尚を抱きしめて口を塞いだ。



『…これ、どうしよう』



「捨てる?」



恭輔はニッコリと笑いながら設置されたゴミ箱を指差した。




……怖いです、恭輔さん。




「うわぁーー恭輔だってあの場に居れば絶対死ぬもんね‼


あんなの地獄より酷ぃっ…もがっ……」



私はもう一度口を手で塞いで溜息を吐いた。



『尚、落ち着きな。



早く買い物して車戻ってあげないと亮太可哀想だし、遊ぶ時間減るから』



「……行こう」



元気を使い切った尚は私の手をどけて歩き出した。




「……拷問。」



「尚、お疲れっしたー」



「ゴミ箱の隣に置けばよかった」



「……早く行こ…」



「琉稀、手」



私の手をティッシュで拭く紘。




『何で?』



「…除菌」



はぁ。



除菌ですか。





何にも菌触ってないと思うけどね。





私達は尚の後を追ってお店に向かった。