薇姫/獣帝





『………』


私は目を開いて真っ直ぐ前を見た。




「くだらないでしょ?」




力無く笑いながら言う尚を見る。






『………くだらないね。』






そう言えば、ピクリと尚の肩が上がっていた。





『………人間誰しもが縋る物がある訳じゃない。






何をなくしても縋る物が代わりにくる訳でもない。』



私は尚と繋いでいない方の手を見た。





『………私も、こんな世界無くなればいいと思った。







暗闇に置き去りにされた様な感覚に恐怖を覚えた。





まさに絶望の淵に立ってその淵さえ崩れていく様な。





尚の気持ちはよくわからない。






でも、










生きているのは、その絶望で強くなれたからだと思ってる』











それは、あくまで………







・・
尚の、話だけど。









私は、強くなれた訳でも無いし、縋りつく物が無かった訳でもない。














私には、復讐と言う鎖が崩れた絶望の淵の切れ端にかかっているから。









それに、縋りついてる。