それからか。
度々武道場やら色々な所で組員に指導を受けていたのは。
あの頃の怜央は、少し喧嘩が強い程度のガキだった。
組員にも負ける若頭ではいけない。
それこそ、幹部補佐の咲夜や棗にも負けていた。
だが、武術の才はあった。
どんどん力をつけていく怜央はどんどん人の命を知る様になって、
中途半端に優しい怜央はいなくなった。
ハッキリ言えば、最初の方は私の方が、組員の方が強かった。
なのに、若頭と言う名に縛られ、苦痛に耐えながらその座の為に 頑張った。
なぜ、若頭にそんなに拘るか、
私には理解出来なかった。
『……………寝なよ』
「何?心配してくれてんの?」
ニタリと口角を上げて笑う怜央に少し苛立った。
どうせ、眠くなるまで仕事をやって眠くなったらその場で倒れる様にして眠るんだ。
私は俯いていた顔を上げて父を見た。
『…………見回りに行きます。
失礼します』
「……あぁ…」
父は立ち上がった私を見上げて曖昧な声で返事をした。
その声を聞き取った私は棗に目配せする。
棗も立ち上がり、「失礼します」と礼をしてから私の後を追って廊下に出た。

