薇姫/獣帝




マンションの部屋に着いて小さく息を吐いた。




落ち着く場が無い。




昔…いや、あの頃か。





あの頃は本家が家で、安らぎの場となってたのに。





あの子が居なくなってどうなったんだと聞かれれば、私は答える事が出来ないだろう。



あの子が居なくなった私に残ったのが、





罪悪感と自分への嫌悪だけだから。






私に、あの子を語る資格なんて無いのかもしれない。




それでも、





脳内にソレはこびりついている。










クローゼットの中にある黒いスーツを着て携帯の画面を見る。





画面の時刻を確認して髪を後ろに払った。




携帯と財布、キーケースをポケットに突っ込み、部屋の外に出た。





コンシェルジュが私に頭を下げるのを横目に見ながら外に出た。




外には見慣れた黒い車。




私は助手席に乗った。