薇姫/獣帝




私は席に座って頬杖をついた。


『伊織、HR。』


「あぁ………」




伊織は欠伸をしてから話し始めた。



私は眠たくなってきて目を瞑る。



すると、私の脇に手が入れられて、咄嗟に手が出た。



それを避けて私をそのまま持ち上げたのは透璃だった。



………透璃、私と身長あんま変わらないのに、持ち上げてる…



「琉稀、HR終わった」



透璃は宙ぶらりんになった私を下ろして屋上に行くように促した。




今日も快晴。




青い空は少しだけ見える海の水平線の奥まで続いている。






………その先に何があるのだろう。






あの頃は、あの子とよく話していた。



退屈になったらすぐに2人でソファに座って話していた。







あの頃には戻れない。






戻る道を選択出来なかったのは、私だ。