「そうだ。」


慶吾さんは思い出したように、ポケットから缶を取り出した。



「美玖にあげようと思ってたんだ。」



茶色く、小さなココアの缶。



「ありがとうございます☆」


あたしはすぐに蓋を開けた。口の中に、ほろ苦い甘さが広がる――。



あたしの胸は、慶吾さんのシアワセでいっぱいだった。



だけどそれが大きくなっていくうちに、もっと苦しんでしまうことになるなんて、あたしは考えていなかった・・・。



ずっとこのシアワセが、続くって信じてたんだよ―――??