「せ、んせ……近い「姫野さんは、お付き合いしてる方はいないんですか?」 心地良いテノールの声は、私の思考を鈍らせるには十分で。 彼氏なんて…… 「い、ません」 「関口君は?」 ……関口君? どうして関口君……? 今日仲良く授業中怒られた隣の席の男の子の名前に戸惑っていると、先生が私から一歩離れていった。 その気配に振り向くと、先生は私を見つめていた。 先生……? 「どうかしまし「好きなのか?」 ――――え? 先生はそう言ったきり黙ってしまって。 私の頭は思考停止中。 .