『音々!新しいアパートはどう?』

『はい、まだいろいろ揃わないんですけど、

 でも、お父様が来るまであと3ヶ月あるから、

 次のお給料が入ったらいろいろ揃えるつもりです。」

『お父さん幸せだね?』

『はい、うんと幸せにしてあげたいんです。』

ウィーンの大学にに留学して、そのまま楽団に入ってしまったから、

もう、10年も日本に帰っていない。

父が留学を進めてくれて、

父の知人のお世話で、楽団にも入ることができて

私は充実した日を送っている。

こっちでも自分の力で暮らせるようになったから、

お父様に一緒に暮らしましょうと提案すると、

とても喜んでくれて、

いろいろ手続きしたらくる手はずになって、

私は、すごく楽しみにしている。

やっと孤児だった私を、養子にしてくださった

お父様に恩返しができるのだから。