にやりと笑ったヘズにかわり、ブラギは走る。ちょうど、しゃがみ込んでいた女が、警鐘であろう音を聞き、慌てて立ち上がった。 羽交い締めにしたブラギに必死に拒絶する。その前に同じく走り女の近くまで来ていたヘズは、すかさず薬液を染み込また布を女の顔に押し当てた。 背後ではブラギに押さえ付けられているのだ。男の力に女が敵うはずもない。 布を押し当てて数秒後、女は崩れ落ちた。 海の方を見れば、すでに村付近にいたのだろう。 小船で見つからないように村に入り込めたようだ。