そういえば昔、雷を伴った嵐が来た時、父の背にしがみついたことがある。
 大きく鳴り響く雷鳴が恐ろしくて。父をつれていってしまうのではと思った程に。


 父は手を止めて私を呼んだ。レト、大丈夫だ。抱きしめてくれる腕は大きく、ずっと側にいてくれた。





 父のことを思い出したら、急に心細くなった。



 気がつけば強い風の音。そして雨。叩きつけるような音が響いた。
 そんな時、外から声が聞こえた。村の人か。男たちのようで慌ただしい。どこかの家になにかあったのか。こんな嵐ならば無理もない。





 私は目を閉じた。