「お疲れ様」

「お疲れ様でした」


無言のドライブを終え、櫻井さんの部屋の前で挨拶をする。

お酒もすっかり抜けてしまった。


「昨日、今日と、ありがとうございました」

「今日は1人で大丈夫だな」

「はい」


ペコリと頭を下げるた私に、小さく頷いた櫻井さん。

昨日からずっと一緒にいたからだろうか、何故か離れるのが寂しいと感じた。

でも、あんな話をした手前、何も言えない。

それに、これ以上迷惑をかけたくなかった。

それでも、何故だろう。

こんなにも離れがたい気持ちになるのは。


そんな事を思って俯きながら立っていると、ポンっと頭を優しく叩かれた。

その反動で顔を上げる。