そういえば… ふと思い出して、引き出しをのぞく。 そこには、愛の名前がまだない、婚姻届があった。 「…。元気になったら、書いてくれよ?」 返事はない。まあ、当たり前だけど。 俺はそっと愛の細くて小さな手を握る。 少しだけ、愛が握り返してくれた気がした。