カタンッ 鞄が棚にあたって音を出す。 「あら?衣亜(イア)、帰ったの~?」 キッチンで夕御飯を作っていたお母さんが私の方を向く。 「あ…。なんだ、あんただったの。ただいまくらい言いなさいよ。」 私の姿をみて冷たい目でそう言いはなつお母さん。 ただいま…言ったんだけどな…。 ーー・・・お母さんには私の声が届かないのか