逆転ガール





幸いにも隣に場違いな女子高生がいることがバレてないらしい。きっと”酔い潰れた人”と認識されているに違いない。薄暗い明かりの中で良かった。とホッとする。



ビールを飲みながら暁と会話をしている会社帰りの人達の話に、聞き耳もたてることなく、私はふわふわとした意識の中で眠りにつきそうになっていた。



「いやぁ、高城さんってすごいっすね。相手に疑心を抱かせることなく悩みを引き出してくれるなんて‥」



酒に酔っているのかハイテンションな井上は、ビールを片手に暁をほめたたいていたが、暁はまんざらでもないような表情をした。



「いえ、そこまですごいものではありませんよ」



「高城さんは過小評価しすぎですよ。素直に受け取ったらいいのに」



黒田さんは勿体無いと言わんばかりに、怖じ気づくことなく暁に指摘していた。暁にものを言える人なんてそうそういやしない。



「そうか‥?俺は別に‥それはそうとお前のとこの同僚飲みすぎじゃないか?潰れてるぞ」



お酒に弱いなら無理しなくていいのに‥と店主らしからぬ発言をする暁。きっと本心からそう言っているのであろう



「あ、ホントだ。井上‥大丈夫か?」



「‥‥‥んあ?」



「大丈夫じゃないな‥高城さん、すいません。水もらえますか?」



「‥おう」



カランカランと氷が水に滴る音が聞こえてくる。私が入れてもらった水があまっていたのか、暁はすぐに井上の目の前に水を出していた。