「わぁ、噂の高城さんですね。思ってたよりもイケメンでびっくりしました。井上です。よろしくお願いします」
黒田さんの隣に座っている井上さんは、名詞を財布から取り出して暁に渡していた。その隣にいる人も松井です。と言って名刺を渡している。
「いや、こんなお店に足を運んでくれてありがとう。礼を言うよ」
暁と黒田さん達のやり取りを聞きなが、ら私は伏せて目を瞑っていた。お客さんと会話している時は、極力何も話さないようにしている。
「今日はタクシーで来たんで、大丈夫ですよ。何を飲もうかな」
「そうでなくちゃ、困る。ビールにするか?結構冷えてる」
「あ、じゃあ俺ビールで!」
「‥‥‥俺もお願いします」
楽しそうに話す井上さんの横で、控えめに話している松井さんがビールを頼んでいた。いいなー大人って。ビールは飲みたいとは思わないけど、自由で。
「じゃあ、せっかくなんで俺もビール、お願いします」
「あいよ、飲み過ぎんなよ」
「わかってますよ。明日も仕事あるんで、控えめにしときます」
何だかんだ世話焼きな、いとこの姿をうっすらと眺めながら、少しだけを目を瞑っていた。今日も疲れた。まだ、明日もあるのかと思うと憂鬱になる。この気分が晴れればいいなと思った。
