「じゃあ、俺がちゃんと杏里ちゃんを送り届けますんで。‥‥って言ってもタクシーですけど」
何分か前についたタクシーを目の前に、暁に向かって頭を下げる黒田さん。
「おう。よろしくな、黒田。‥‥悪いな、任せちまって」
あまり悪びれた様子もない暁に、私は目を細めて眺める。それに気づいたのか、暁はニヤリと笑ってそのまま店の中に入ってしまった。
(‥‥‥‥うわぁ‥‥嫌な奴)
「杏里ちゃん、乗っていいよ。ごめんね、会ったばかりのおじさんと帰ることになって‥‥」
「いえ!‥黒田さんが謝ることじゃないですよ。それに嫌じゃないんで」
むしろ親近感があります。‥‥とは言わないまでも私の後に続いて乗り込んできた黒田さんの表情は、ホッとしていた。
「それは、よかった。杏里ちゃん、どの辺まで行けばいいかな?」
「あ、じゃあ‥─────までお願いします。」
私の声が運転手さんに聞こえたのかミラー越しにこちらを見ていた運転手さんの手が動き出し、タクシーも動き始めた。
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