飲み終えたビールのジョッキをカウンターの上に置くと、黒田は会計を済ませて席に置いていたジャケットを羽織る。
その音を聞いた私は息苦しさからモゾモゾと動き出した。流石にこれ以上伏せてるのはキツイ‥そう思った時‥
「‥‥杏里、もう大丈夫だから顔をあげてもいいぞ。」
黒田さんがまだ店から出ていないはずなのに、声をかけてきた暁に私は不覚にもビクリと反応してしまった。
「「‥‥‥‥え?」」
ゆったりとしたBGMが流れているだけの店内に、2人の声が交差する。びっくりして顔をあげると、同じような顔をした黒田さんの顔が私を見ていた。
「‥‥‥えっ‥高校生?」
「………あ、え~と」
困惑したような表情をしながら、暁と私を交互に見ていた。なんで、暁はこのタイミングで顔をあげてもいいだなんて‥?
「黒田。びっくりするのも無理もないよな。こいつは、杏里。俺のいとこだ」
この状態を生み出した張本人はしれっとした顔をしている。一体なんのつもりなのかこの人は‥‥‥
「え‥‥‥高城さんのいとこなんですか?‥あぁ、そう言われると似てますね‥‥」
(は‥‥?似てる‥‥‥?
この顔だけ取り柄な暁と‥?)
暁はというと、不快そうな表情をして黒田さんを見ていた。なんなんだらその表情は!なんだか、とっても失礼だと思う。キッと睨みをきかせるも、そっぽ向かれてしまった。大概ムカつく。
「似てるかどうかは、知らないが‥杏里は1ヶ月前に引っ越してきたばかりで、新しい高校先で上手くいってないみたいなんだ。だからこうして毎日俺の店に来るんだよ‥どうにか出来ないか、黒田」
「‥‥‥な!」
ち、ちょっと!
いくらなんでも初めて会った人にそんなこと話す必要ないでしょ!ほら、黒田さんが怪訝そうに見てるし‥!
