分かっているとも。自分がどれだけ嘘をついたところで、ルイはおろかノアールだって騙せないことぐらい。


数分、満面の笑みを浮かべたルイと見つめ合う。


彼は微動だにせずただじっと朔夜を見つめ、朔夜は冷や汗を流しながらルイを見つめる。


正直、かなり辛かった。


あの碧の瞳に嘘どころか何もかもが見透かされているようで……。


数分の睨めっこの後、朔夜は静かに瞳を閉じて嘆息する。


その表情には諦めが見え、ルイは勝利を確信したようにニッと口角を釣り上げた。



「何をそんなに気にしてるの?」

「それは――……」



朔夜は戸惑いがちに宙に視線を彷徨わせると、たどたどしく説明しだす。


数日前。お気に入りのクマのストラップを無くした次の日。


登校時もストラップは落ちていなくて、諦めかけて席につくとそこには散々探しても見つからなかったクマのストラップが置いてあったのだ。


――奇妙なカードと共に……。



小さなカード一面は真っ黒に染められ、その中心にぽつんと、けれどかなりの存在感を醸し出した真紅の薔薇の花が描かれていた。


薔薇の花以外に、描かれているものはない。


当然、何を意味しているのかも何のカードなのかも分からずクラスメートたちに聞いたのだけれど、やはりというか何と言うか皆一様に首を振った。