かれこれ悩むこと2時間。
もう2時間も悩んでいるというのに、
ペンを持つ右手は一行に進まないのは
なぜなんだと自分を責め立てたい。



「……そうだな、」

何かを記すのに、著者である僕の名前が
無くてはならないことに
今更だが急に気がついた。
何かの文献を読んだ時もそうだったが、
どこかしらに著者の名前は
書かれているものだ。



僕の名前は、黒田 真(くろだ しん)。
特に秀でたものもなく、
劣っていると思うとこもなく、
まずまずといった平凡な男だ。

………と、言いたいところだが、
僕には少し奇妙な能力…
というのかは分からないが、役目がある。
まあ、だからこうして
苦手なことをして記録をしているのだが。

これは、今までの人類の過程であり、
これからの道標にもなるだろう。



血みどろに塗られた歴史の中
今は隠された涙の上に僕らは生きている
そして、浄化されることはない地に
這いつくばり必死に生きる。

人間とは、
浅ましく愚かな生き物でしかないと
何度感じただろうか。