その二人を見つるのを止めて、また歩き出そうとしたら、名前を呼ばれた。
「ちなみ先輩っ!」
「…え」
後ろを振り返ると、智也君がこっちに向かって走っていた。
「ハァ……ハァ…」
私の前に辿り着くと、息が荒かった。
走ったら息が荒くなるのは、普通だけど……何で智也君が?
「じ、時間的に…危ないと思って…ハァ……間に合って良かった。ハァ、送っていきます」
「それだけのために?」
「それだけって……大事なことですよ?」
私を送ることが大事?
智也君って本当に良い子だなぁ。
「ありがとね?」
「いえ、じゃあ─「おい!」
……ん?
『おい』って、あれ。
今、南原の声がした気がする。

