「ゼリーちゃんて……
 
 なんだってそう、いちいちあたしの夢に水差すのぅ?」



 そーやって、飴玉みたいな目、可愛げにうるませたってダメ。

 そろそろ現実見なさいよ、ミルク。

 あんたのこと、こんなに考えてる私の身にも

 ちょっとくらいはなれっつーのよ。



「プーンだ。そんな心配ご無用だよん。

 新しいダーリン、できちゃったもん☆」



 はあああああ!!!!????いつの間に!!!!????



「つうわけで。これからあたし、デートなの♪

 今度こそ本物の、いかしてる、スイ~トな

 かっこいいあたしの王子様なのよ彼ってば!!」



 ポッカリ口が開いたままの私に、

 シャワーで泡を流し終えたミルクは続けて言った。



 「じゃあねゼリーちゃん!あなたもボヤボヤしてないで、

 早くダーリン狩りに出かけなさいよ~ぅ☆

 バイバーーイ♪」


 「…………………………」





 ミルクはバカだって皆が言ってる。

 そんなことは、ミルクの一番そばにいる私が誰よりもよく、わかってる。

 なのにあいつは、どーーしてあんなに恋多き女なの????

 そんでもって、どーーして私は、あんなバカ女に振り回されてる

の????



 

 恋心、生クリームみたいに泡立てて、バニラエッセンスみたく甘い香り

 漂わせながら

 ふわふわホイップされた足取りで、ダーリンの元へ去っていく。

 まったく。ピンクのバラみたいなほっぺたしてさ。




 あーーーーもう!!認めたくなんかないよ!!だけどさ。だけどね。



 



 そんなミルクは世界一、いい女なわけ。

 そんなミルクにオトコは、ぐらっとまいっちゃうわけ。

 ついでに私もぐらっと、来ちゃってるってわけ。

 あいつ、女の恋人は欲しくないのかぁ。あーあ。

 せつな過ぎて、あったま来るわよ。



 バカバカバーカ。おまえなんか。

 散々振られて酔っ払って、ドブ川に顔突っ込んで死んじまえ。





 

 愛してるよ、ミルク。