皇帝のサイコロ


「ねえ、もっと安いのあったでしょう?お父さんが食べるだけのチーズでこんなに高いのなんて買わなくていいし、他の商品もほとんどがいつも買ってる安いメーカーじゃ無いし。信じられないわ!値段見なかったの!?」

責めるような口調で一気にたくさんの言葉を浴びせてきた。

値段……。

言われてみれば、見てなかったな。

考えもしなかった。

「何?その顔。まさか本当に値段気にしてなかったの?」

小馬鹿にしたように、そして呆れたように笑った母。

その笑いは俺の大嫌いな笑い方だ。

100人中、100人が苛立ちを覚えるであろう笑い方。

舌打ちをして言い返す。