皇帝のサイコロ

そして財布の中からレシートを取り出し、記載されている数字の通りのお金を手に持つ。

「はい、レシートとお釣り」

「ありがとう」

母の枕元に置いた。

階段を比較的上辺りまで上がったところで、「慎!」と俺を呼ぶ声が聞こえた。

腰の痛みが酷くなったのかと青ざめ、急いでかけ下りる。

「ちょっと、なんで……」

レシートを持って声を震わせている。

「何でお釣りが小銭だけなのよ」

え、と間抜けな声が出てしまった。

なんだそんなことか。