皇帝のサイコロ

一週間後、俺は実家に帰った。


「お兄さん、お兄さん」

「なんだい?妹」

部屋に入ってきた妹からアイスを渡された。
しかも好物のチョコレート。

「サンキュー。今日は会社休みか」

「うん。昼まで寝ようと思ったけど暑すぎて」

23歳の妹、有紗は印刷会社に勤めている。

学生時代から頭が良く、気が利いて彼氏もいる。

友人からの誘いも多く、言うことなしだ。

有紗は部屋のドアを閉め、俺の前に座った。

「ねぇ。昨日の夜に少し話してるの聞こえたんだけど、彼女さんに逃げられたの?」

「まあ。俺が悪いんだけどな」