皇帝のサイコロ

迷っている。

働くよりも、勝つことを夢見てパチンコをしているほうが断然楽だ。

しかし、現実を直視すると……。

お腹に黒い液体がポタポタと溜まっていくような感覚に襲われた。

「もう……どうにもできないと思う」

「何でそう思う?」

「誰にも言ってないけどさ、借金があるんだよ」

「いくら?」

「ざっと500万」

昭は何度目かもわからないため息をついた。

「それは自業自得。ちゃんと働いて返そう。いいの?このままもっと額が膨らんで、家族が慎の借金を返さなきゃいけない破目になっても」

父や母や有紗にそんなことさせられない。