皇帝のサイコロ

「それで、慎には会えた?」

芋けんぴを飲み込んで答えた。

「まだです。仕事先って町内ですよね?」

「そうよ」

「僕が引っ越してから新しくファミレス建ちましたか?」

「ううん、昔も今もあの一件だけよ」

熱いお茶をすする。

いつの間にか眉間に皺がよっていた。

「店員から、飯島という従業員はいないと言われました」

「あら。私、間違えて覚えていたのかもしれないわ、ごめんなさい。どうしましょ。あ!これに青木くんの携帯電話の番号書いてくれる?慎に渡しておくわ」

ボールペンとメモ帳を渡された。