「…」

「完全に嫌われてるのに、それでも好きになっちゃうなんて変。余計、疲れるだけだと思うよ」

「…」

 俺、心の整理が付いていないから返答出来ない。

「敦子の事は諦めなさい。その方が田代の為になると思うから。いつまでも未練を残しちゃ、先へは進まないからね」

「…」

「今からでも遅くはないから」

 富沢さんはこんな感じで俺を説得し続けた。

 最初は素直に聞いていた俺だけど、あまりしつこく言うから…

「せかすなよ! 頭ン中が、パニックになってしまうだろう!」と言って黙らせた。

 富沢さんはムッとなって後部席で腕を組みあぐらをかいてしまう。

 ちょっとピリピリした雰囲気になっちゃったけど、志田さんが間に入って場を和ませてくれた。

 富沢さんをなだめた後、志田さんは俺に言う。