その後ぞろぞろと他の先輩や同級生に後輩たちが体育館に集まって来た。
最初は一人一人に久保田が私のことを好きだということを知っていたか聞いて回ろうと思ったのだが、私のなけなしの良心がそれを許さなかった。
練習が始まってからもフットワークのスタートに合わせて笛を拭きながら、熱心に練習に打ち込む久保田のことをぼんやりと眺める。
私と久保田の関係。
それはもう悪友としか言いようが無い。
1年も2年も同じクラスで同じ部活ということもあって、部活の中では誰よりも仲は良かった。
昼休みはタイミングが合えばたまに一緒に購買にも行ったし、1年の頃の遠足は同じ班を組んだ。
2人きりで出掛けたことは無いけど、久保田の練習後の自主練に付き合ってそのまま一緒に帰ることなんてよくある。
互いに言いたいこと好き放題言って一緒にいるのも楽。
そこに恋愛の関係なんてない気のおけないただの友達だと思っていた。しかしそれは私だけだった。
すごくわがままかもしれないが、久保田が私とはまた別の感情を持って私と過ごして来たんだと思うと、なんだかとても切なく思える。
久保田はいつも不機嫌で顔が怖くてバスケが誰よりも大好きな奴。
それ以上に思うことは今はできそうに無い。
