そう思うと、久保田に一瞬でも腹を立ててしまった自分が恥ずかしくて目頭がどんどん熱くなってきた。
泣いたところで謝罪にも反省にもなる筈がないと、無理矢理目をこすってから涙が乾くのを待つ。
先程得点板に突っ込んだ彼の救護と、壊れた得点板の始末が終わらない限り試合は再開されない。
何度か息を吸って手のひらでパタパタと顔を扇いでから、睨みつけるように久保田を見上げる。
別に睨みつけたかったわけではないのだが、目元と眉間に力を入れないと今にも涙が溢れてきそうなのだ。
「ちゃんと俺に言うことねえの?」
「……ごめんなさい」
「違えよ馬鹿」
「え、……次からは気をつけます……?」
「……うん、違え。まぁいいや」
そう言うと、久保田は私の頭をポニーテールがぐちゃぐちゃになるくらいに撫で回してからコートへ戻っていった。
気がつくと折れてしまった得点板も新しいものに変えられて、先程得点板に突っ込んでしまった相手チームの選手も大した怪我ではなかったようで、コートの中でバッシュの裏を撫でていた。
すぐに片腕をあげた審判からボールを渡されたシュウ先輩が、ポストにパスをしてゲームが再開された。
まるで、まるで嵐のような出来事だった頭が全く働かなくて、取り敢えず得点係の席に腰を下ろす。
心配すんだーろが!
さっきの久保田のその言葉が声が頭から離れなくて、鼓動がどんどん激しくなってきて顔に熱が集まっていくのがわかる。
これはあれだ、彼にときめいたとかではなくてただ単に体育館が暑いだけだ。
試合をする人たちの熱気で蒸し暑い、体育館のせいだ。
